2006年06月29日

ウルフェルストーリー7

第7話


 あれから、4年の歳月が流れた。

このころには、ウルフェルもひとりで何とか仕事をこなせるようになっていたし、顔からは少年のあどけなさが影をひそめはじめ男らしくなり、体つきもすっかり逞しくなってきていた。

「ウル、あんまり根をつめちゃだめよ。結婚式の前に新郎が倒れるなんてやめてよね」

「ああ、わかってるよシェリア」

二人はいつのまにか互いに惹かれあい、数日後には挙式を迎える事になっている。

「うふふ、お姉ちゃんたらもうすっかり奥さんきどりね。お兄ちゃんも気をつけないとお姉ちゃんのお尻にしかれちゃうよ」

「こ、こら!フィー!」

リフィカにからかわれたシェリアは、気恥ずかしさから顔を真っ赤にして、ぶつ真似をしてみせる。

そこに追い討ちをかけるようにウルフェルが、

「ああ、そうだな。十分注意しておこう」

と、まじめくさった顔で言ってみせるとさらに真っ赤になり、

「もう、二人ともいいかげんにして!!!」

とさらに怒ってみせる。

しかし、その表情は幸せに満ちたものだった。



結婚式は身内だけでおこなわれた。

つまり、新郎と新婦を祝福するために教会に集まったのは、新婦の両親、工房で働く二人とその妻たち、さらにそれぞれの夫婦に子供が一人づつの計9人だけである。

ほかにも参列したがっていた者はいたが、工房の主人がウルフェルがまだ修行中の身であるからとして断った。

だが、本当の理由は、ウルフェルの素性を知る者が参列する事を嫌ったためである。

式はとどこおりなく進み、ウルフェルがこの日のためにみずから作った指輪を交換する。

それは、銀製のとてもシンプルなものであったが、裏側に【永遠の愛を】と彫り込んであり、二人にとってはかけがえのないものだ。

最後に誓いの口づけをかわし、神父から祝福を受け式は終え、工房に戻るために外に出るとシェリアの元にリフィカがやってきて姉をまぶしそうに見つめて言う。

「お姉ちゃん、今日はとってもきれいだったね」

「今日は?ちょっとフィー、それはどういう意味かしら?」

「え?そういう意味じゃなくて…」

「うふふ、冗談よ。ありがとう、フィー」

リフィカは姉にだまされたと知って頬を膨らませた。

それを見たシェリアは、

「ごめんね、フィー。これをあげるから機嫌を直して」

と言って、手にしていた花束を手渡し、妹を抱きしめる。

「可愛いあたしの妹リフィカ。いつの事かわからないけど、次はあなたの番よ」

リフィカはちょっと驚いた表情を見せたが、すぐ笑顔になると、

「ありがとうお姉ちゃん。ぜったいあたしの王子様を見つけてみせるよ。お姉ちゃんがうらやましがるような人をね」

「ちょっとフィー、ひとこと多いわよ」

そう話しては、二人でクスクス笑いあうのだった。

posted by ウルフェル at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 自分で書いた小説のようなもの関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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